aomititeさん
ウッドロウ・ウィルソンが人種差別主義者だったか、それも熱心な、というのは大いに疑問があります。
彼が黒人や日本人、あるいは白人以外の人々に差別的であった、とする言動は伝えられていません。
まずはっきりしているのは、彼は人道主義や平和主義において、理想主義者であり、それを具体的に実現しようとした政治家でした。人格的にも生真面目、という点では立派な部分があったのは事実です。
そして、今日の日本人に大いに誤解があるのは、当時の情勢や価値観というものについてあまりに無知なことです。
ウィルソンが主導したヴェルサイユ条約や国際連盟というのは、第一次大戦の惨禍への反省からでした。そして、彼が一貫して批判したのは、ドイツの軍国主義、オーストリアやトルコ、ロシ� �であった一部の民族、階級による複数の少数民族を支配する広域帝国でした。
14ヶ条の提案が、中東欧の問題に力点が置かれている点からも、これは明らかです。彼はここで民族自決とは言っていません。あくまでここでの少数民族の擁護がそう解釈されただけです。
どのようにマリー·アントワネットは、世界に影響を与えなかった
また「人種」というものに、「肌の色」が絡むのは当時、ごく限られた地域の問題だったのです。
欧州での人種差別問題や弾圧とは、ユダヤ人、ポーランド人、バルカンの少数民族、トルコのアルバニア人などです。
またヒトラーはユダヤ人やスラブ人を、自分たちドイツ人と同じ人間と見なしませんでした。
ところで、ここに「肌の色」の違いは存在するでしょうか?
欧州にとって人種とは、あくまで宗教や言語、文化の差異なのです。
肌の色の差別で問題になったのは、アメリカ国内と、オーストリア、南アフリカなど一部イギリス植民地でした。
そして、この人種差別撤廃提案は、あくまで前文 に入れるもので具体的な拘束力を持つものではありませんでした。
また、これがどういう意義を持って日本の外交官が提案したかはっきりしないのです。
本気で意義があるものと思ったのか、ただの思いつきなのか、国際平和に取り組んでいると具体的にアピールするための手だったのか。自国の要望、占領したドイツ占領地を確保するための交渉手段でしかなかったのか。
のようにジョン·ブラウン幼年何だったの
というのも、当時、人種に基づいた国家間差別はありませんでした。あるいは関税自主権の回復や治外法権の撤廃の苦労への鬱憤があったのかもしれません。
となれば国内問題となりますが、そうすると、日本は朝鮮や台湾、満州の現地住民の問題があります。
人種差別撤廃法案が世界規模で拘束力があるものとすれば、日本はこれをどうにかしなければなりまえん。ところが、この点で日本は全く用意がありませんでした。
また日本は、具体性を持って主要国たる米英仏にすり合わせをするような交渉努力もしてません。
つまり、他国から見れば、この提案は響きは立派だが、具体的何を意味するのか分かりかねたのです。
そして、アメリカでは、人種差別は非常に厄介でデリケートな問題でした。
ウィルソンは国際連盟の加入について、国内でも熱烈に取り組みましたが、それでも議会も世論もまとめ切れませんでした。
ここで、国内の社会体制も変革する提案もあった場合、国際連盟の加入の目算はどうなるでしょうか?
ウィルソンが恐れたのはここでした。
週の何日は9月でした。
今日的に言えばウィルソンというのは日本の左翼みたいな思考のタイプだと称するべきかもしれません。
日本では、人権や平和などを熱烈に真面目に主張する人がいます。
でも、彼らはチベットでの問題や、北朝鮮での独裁者による飢餓民について、決して何も言いません。
彼らの平和主義や人道主義とは、こういう国の独裁的指導者と仲良くなっても、日本が憲法9条を守って平和を保てればよく、人権や自由は世界の誰もが享受できる普遍的価値のあるものではなく、あくまで自分たちや社会にあればいい……というものです。
ウィルソンにとって、大戦を防ぐことが何よりも大事で、そのためには国際連盟が必要であった、それによる世界平和を実現するためには、いらぬ波乱要因は持ちたくない、と考 えていたのでしょう。
実際、アメリカ国内での国際連盟の加入を巡っての議会対立でも姑息なことをやっています。この点でも、日本の少数政党とメンタルが似ています。
日本にとって痛手だったのは、これをきっかけにアメリカの理念について偽善性と被害感を覚えるようになったことと、世界の諸問題について、アメリカに真意を伝えたり、読み取ったりする努力が欠けるようになったことです。
これは第二次大戦の悲劇に結びつき、そして、また今日的問題でもありますね。
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